2006年12月13日

地獄少女二籠 第9話 「あにいもうと」

 今回は都合によりレビューは無しです。

 兄妹でありながら、“男と女”としての愛情(と憎しみ)を抱いてしまった兄(幹夫)と妹(真帆)が、地獄へいくまでの物語…と言ってしまっては身も蓋も無い、業の深さを感じさせる回でありました。


 藁人形の使い方を聞いた後、どうせ今のままでは天国へは行けないと言い、あいにどうして? ―と訊ねられ、答えず(答えられず)目を伏せる真帆の姿が、序盤から根の深いものを感じさせられます。

 味噌汁を渡す際に、指先が触れあっただけでお互い意識し合ってしまうあたり、兄と妹というには不自然さがありました。最初から男女の性が垣間見えるシーンです。

「真帆の良さが分からないなんてろくな奴じゃない。別れてよかったよ」
「………うん…」
 自分から男に振られるように仕組んでおいてよく言うというか、バレずに上手くいっているという安堵感があるからこそ出た言葉なのでしょうね。
 しかしここで、真帆の返事に込められた響きとトーンに何かを感じ取れていれば、後の展開も何か変わった可能性もあったかもしれませんが、真帆の「お兄ちゃんがいればいい」という言葉に、安心しきってしまったのかもしれません。
 まあ水仕事をしていると声や音は聞きにくくなってしまうので、仕方ないのかもしれませんが。

 そして夜、兄のことを愛してるけど憎んでる、と言う言葉に「好きと嫌いは同じもので出来てるからな、そういうこともあるだろうよ」という一目連のセリフに、ハッとしたように振り向く真帆と、その反応に「え?」という感じの一目連。
 そのおかしな“間”も印象的でした。

 兄が女装して自分から恋人を奪うのは、女性として私(真帆)の方が劣るから云々の話(告白)を聞いて「考え過ぎじゃない? 兄さんは変な虫からあんたを守ってるつもりなんじゃないの。あんたのこと大好き過ぎてさ」と言う一目連に「いいえそんな筈無い、絶対に!」と語気を強めて反論したあと黙り込むなど、情緒不安定ですがそれも尤もです。


 しかし真帆に近づいてくる男は、皆女性が好きだと思うのですが、男性でもいいのでしょうか。それとも兄の手ほどきで、そっちの方に目覚めてしまうのでしょうか。
 うーん、この辺りがよく分からないです… ;
  
 しかし、自分に恋人が出来かけるとそれを横取りする兄を憎んでいるのに、接近してきた浩太について聞かれもしないことまで喋るのは何故なんだろう?
 ひょっとしてわざと兄を仕向けているのか!? ―と、思ってしまいましたです。

 その他、兄が浩太のところへ行ったと考えた日の朝に朝シャンしてたり等、わざとなのか否か分かりませんが、妹は無用心過ぎと感じたのは自分だけでしょうか。

 そうして浩太に振られた日の夕方の修羅場…

 我慢も限界にきた真帆が、兄の部屋で見つけたワンピースを身に着けて兄の前に現れるシーンがまた切ない…
 兄がその服を着て自分の恋人(?)を誘惑・寝取ったのに、一体どんな気持ちでその服に袖を通したのか…
 (ちなみにどうでもいいことですが、兄が着ていた時は鎖骨が見えそうだった服が、真帆が着ると衿が首まできていたのは何故なのだろうと思ってしまったのは自分だけなのでせうか…?)。

 話を戻して。
 いつから(私を好き)なの? という真帆の問いに「きっと生まれる前から」と兄が答えたのは、ちょっと意外でした。おそらく「生まれた時から好きなんだ」あたりかと思っていたのですが…

 しかし兄にとってはそう考える(感じる)ことで、これは『運命』なんだと、たまたま兄妹として生まれてしまっただけなんだと、そう言いたかったのかと…

 しかし壁に叩き付けられ正気に返った兄が見たのは、傷つけたくない、誰よりも大切にしたいと思っていた妹の、傷つき怯えた姿だったわけで…
 自分のしたことを謝り、仕事に行ってくると出かけた兄ですが、ここまできてしまったからには、少なくとも以後同じ家に住むことは不可能と思われました。

 案の定と言うべきか、妹は地獄少女に助けを求めるわけですが、「お兄ちゃん道に迷っちゃってるの。ううんそうじゃない、もう私抗えない、きっと今のままではいられない」と、自分も道を踏み外すであろう事を感じて兄を地獄へ流すあたりも、まさに『業』の深さとしか言い様がありません…

 兄は兄で、自分は女でいなきゃ、そうしないと男として真帆を傷つけちゃうから―と、歪んではいるものの妹を想う気持ちに嘘は無いんですよね…

 今回はあいの出陣の際に祖母が「今日は嫌な風が吹いているね」「気をつけて行くんだよ」等と声をかけ、いつもとは違う演出をしていますが、それだけ今回の地獄送りが特異なものということなのでしょうか。

 ナンパされた兄はホテルで、またひとり妹に近づく男が減った、と鏡の前で微笑しますが、本音は世の中の全ての男が消え、世界中に男性は自分ただひとりとなることが理想なのでは…? −と、ちょっと勘ぐってしまいました。

 そしてお仕置きタイム(?)で、自分は女でいなきゃ、と考えつつも、男性としての自分の裸体−現実が鏡に映り動揺しつつも、その奥にやはり裸体の妹が手を広げて「お兄ちゃん」と呼びかける姿に、喜色を浮かべ駆け寄っていく様は、もう理屈ではどうにもならないほど妹が好きなんだな…と――

 今回久しぶりに、あいの「いっぺん、死んでみる?」が聞けたわけですが、コントらしいコントもないのは、妹を愛したという以外に罪らしきものが無かったせいでしょうか。

 獄行きの船の中で、いずれ地獄で妹と会えるかもなと聞かされた後も「これで真帆を傷つけずにすむ」と、兄が穏やかな表情だったのを見ると、余計にやるせなくなってしまいました。
 しかし歳をとって婆さんになった妹と再会しても、兄の妹への恋心は変わらずにいられるのかな? という疑問も湧きました。

 その後兄のクローゼットで、おびただしい数の女物もの服(それだけの数、自分に近付いた男性を誘惑したという証し)を目の前にした真帆が、その中の一着を取り出して抱きしめ「お兄ちゃんお兄ちゃん」涙を流すと「すぐにそばに行くからね」。
 …つまりは、真帆はこの後後追い自殺ですか…? 兄だけを苦しめたりしないという気持ちの表れと言えそうですが、自殺は更に罪が重くなると言いますし、個人的にはそれは避けて欲しいところです…
 (しかし、もしそれを決行となれば、幹夫と年寄り真帆との再会は無くなるわけですね…)。

 いずれにせよ、ふたりとも地獄で永遠に苦しむことになってしまっては、来世では幸せに…と祈ることすら叶わないのが、更にやるせないです…

 「人には超えちゃならねえ一線がある。それを無視しちゃいけねえや」という輪入道のひと言が重く渋いです…(このあとのきくりの「キモ〜イ」が、無責任だけど世の大半の人々の印象なのでしょうね…)。

 今回の話は妹視点(好きだけど嫌い、愛しいけど憎いという)、相反する揺れる感情が画面から伝わってきて、こちら(視聴者)側の感情を揺さぶられた感じです。
 まさに最初にお嬢が言ったように、「凄まじい業を感じ」させられた回でした…


 そして次回。
 恒例の「名前は?」も、「恨み、聞き届けたり」も無かったので、地獄送りは無さそうです。
 タイトルからしてポルノ監督がらみの話らしいですが、ゲストが千葉繁さんなので、ただの息抜き回ではないはず、と期待しています。
posted by セレネ at 00:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 地獄少女 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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