2007年02月08日

地獄少女二籠 第14話 「静かな湖畔」

 随分と感想をため込んでしまったので、暫くあらすじと云うかレビューもどきは無しで、追いつくまで(追いつけるのか!?)いきます(本当は、ざっとでも書いた方が調子が出るんですけどね;)。

 さて今回は、全シリーズ通して最年少の地獄通信アクセス成功者(前シリーズのつぐみは、あいから直接藁人形を渡されたので、アクセスにはカウントせず)の少年の視点で物語が進みます。


 恨まれている人(達)が、恨んでいる当人をすっかり信用・信頼しきってしまい、手の内を何もかも明かしてしまっていたのが、更に悲劇を拡大させてしまった感がありますね。

 でもこういう事って、現実でもありがちなことかもしれません。むしろ露骨な嫌味や嫌がらせより、信頼していた人物が実は… ということの方が、もっとずっと堪えるような気がします。
 前期の「優しい隣人」でもそうでしたが、ご近所から村八分状態の時に身近に親身になってくれる人がいたら、かなり精神的に依存してしまうでしょうしね。
 紅林(くれ)家の場合は柿沼とは旧知の仲だったこともあり、信頼度は元々高かったでしょうし…
 でもそんな中、息子の拓真は柿沼に対して一歩引いていた感があるのは、先入観に囚われない子供ゆえの直感から、何かを感じていたのかもしれません。

 そんな少年も、自分達一家に意地悪というか嫌がらせをする人物に対する恨みの気持ちが強いのは、毎晩のように地獄通信にアクセスすることからも、その強さが窺い知ることが出来ると思います(そういえば、今回は噂話で地獄通信のことを知る、というパターンではなかったですね)。

 でも少年は、それがそれが悪いこと、ダメだという意識があるので、きくりに本心を突かれて動揺してしまうんですよね…
 だから「僕は何もしていない。僕ん家を苛める人のことは憎いけど、死んで欲しいなんて言ってない。僕は見てるだけ。この画面を見てるだけでいいいんだ」となるのでしょう。

 このへんの「本音と建前」と云うか「意識と無意識」との「意識の差」(葛藤)が、この回のひとつのテーマなのかもしれません。

 それにしても、未だにきくりがどういう存在かがいまいちよく分かりません。
 少年の自覚したくない本心を暴いたかと思うと、柿沼の作ったビラをわざわざ渡して少年(母も)の悲しみと憎しみを増幅させたり、あいから藁人形を渡された少年に「悪いことするんだ」と言って首を絞める真似をして見せたりと、意図的か否かは分かりませんが、動揺させようという思惑でもあるのでしょうか。
 あいは「あの子なりに放っておけないのよ」「(きくりは)私の邪魔はしないわ」と言っていますが、あいに直接たしなめられないと止まらなかったりするので、少々その線も怪しいような気がします。

 そして少年。
 目の前で母親を殺されたのみならず、嵌められ濡れ際着せられたも同然になってしまいます。
 本当に世間の人々は口さがないというか、無責任なことを言うものですよね。単に「取調べを受けた」というだけで、まるで犯人扱いです。

 さてさて。
 ここで、ちょっと粗探しの探偵ごっこをしてみました(暇つぶし程度にしかならないですし、突っ込みどころは満載だと思いますが、まあそこは素人ということで ;)。

〈母の喉に刺さった矢は、床にほぼ平行の角度で、倒れたのは窓に対してほぼ直角。
もし少年が室内で母を撃ったのなら、角度として何かの上に乗らなければ、床に平行にならない〉
〈また室内からでは、母は窓に直角の角度では倒れない。そして身体を移動させたのなら、その痕跡が残るはず(母は倒れた直後に出血している)〉
〈もし庭から狙撃したのなら、庭には(角度が床と平行になるなら)足場となるものが残っていなければならない。それをあの緊急時にどこへ・どうやって移動、もしくは隠せたのか。足場の痕跡はあったのか〉
〈更に弓銃はどこで・どうやって入手したのか。今はネットで色々と買える時代だが、小学生が銃火器類を手に入れようとすれば、おのずと販路は限られてくるはず。それをどこまで調べきれたのか〉
〈そしてなにより。少年に母を撃つ・殺す動機は? あると考えるなら、それはどういったものか〉

 …などと考えているうちに、柿沼を恨んでいるらしい女性登場。
 どうやら恋人に赤ちゃんが出来たと知るや、柿沼はその子供を殺してしまったようです。つくづく柿沼が性根の腐った卑怯者だと思わされるやりとりです。

 そしてそれらの会話を聞いていた少年が父にそのことを話すものの、相手にしてもらえません。
 人を憎んだり恨んだりしてはいけないというのは、大人として親としてもっともだとは思うのですが、子供としては自分を真正面から受け止めてもらえない・信じてもらえないのかというやるせなさ(時として悔しさも)を感じるのも、当然ではないかと思うのですが…

 そのせいもあって、少年は地獄通信に柿沼の名前を送信。
 送信した(出来た)だけでホッとしたようでしたが、藁人形を渡されルールの説明を聞いたあとの、きくりの「悪いこと、するんだ」のセリフや首絞めの真似ごとを見て、母を殺された無念よりも、理性というか父の言うモラルに思いが傾いて藁人形を返すのですが、この時点で人形を返すというパターンは珍しいですよね(某暴走回でひとりいましたが)。
 ここできくりが自分の首を締め上げる真似をして見せた時、あいは「きくり」と制止しますが、その声がいつになく低く厳しい声だったのは、きくりの言動が、『あとは自分が決めること』という地獄通信のルールに外れたものだったからでしょうね。

 息子には警察に任せるんだ、と言い切った父ですが、やはり気になるのか柿沼の家を訪ねて行きます。対して息子は警察にTEL(&呼び出し)。
 このあたりの対比も面白いですね。

 柿沼のいうことは逆恨みでしかなく、父の言う通り「待ってるだけではダメ」が正しいと思いますが、それが通じる相手なら、10年も恨み続け復讐のチャンスを待つなんてことはしないはずなので、馬の耳に念仏どころか、火に油を注ぐ結果に…

 一方、柿沼を恨む女性(さやか)の手には、もう一体の藁人形が。
 その日の0時には、少年があいと会っていたので、その前日かそれ以前に藁人形を受け取っていたと推察されます。
 彼女は柿沼に赤ん坊を殺されたのが、未だに癒えない傷となっているようです。柿沼を愛していた、素敵な恋を夢見ていた分、一生消えない傷なのかもしれません。

 少年は警察を呼んで、昨日(母の葬儀の日)に聞いたことを話し、柿沼を取り調べてもらおうとしていたのだと思います。
  しかし父の殴られた姿を目にした少年は、柿沼の家へ飛び込んでいってしまいました。でもこれは無理からぬところでしょう。なにしろ少年はまだ子供なのですし…

 しかし父は既に床に倒れて喉元から血が流れており、更に父を手に掛けた同じ凶器が柿沼の手で少年に振り下ろされようとした瞬間。女性によって解かれた糸によって柿沼は地獄へ送られます。
 「き…消えた…?」
 事情を知らない少年にはそれしか分らないですし、知っていてそれを主張しても信じてはもらえないでしょう。
 結果的に、あともう少しの間少年が警察を待てれば、もしくは警察の到着が早ければ、少なくとも柿沼が消えたシーンを警官たちが目撃していれば…という展開になってしまいました。


 ここで再び探偵の真似事―というか疑問点を挙げてみると、

〈柿沼の部屋のサーフボードの弓銃の矢の痕を、警察はどう捉えるのか〉
〈凶器に使われた瓶からは柿沼の指紋のみで少年の指紋は付いていない(はず)〉
〈父の倒れた状況からして、少年の襟元に付いた血(柿沼に掴まれた時に付着した血)は父が掴んで付着したものではない(警官が飛び込んできた時、父が倒れていた場所と少年の座り込んでいた場所は離れていた。またもし衿から指紋が採れたとしたら、それは父のものではないことは明らかである)〉
〈他に少年は返り血など浴びておらず、科学捜査では一目両全だが、少年の手に血液反応も無く、手袋などの所持・隠匿の時間もほとんど無い〉

 …あたりがあると思うのですが、サーフボードが物的証拠となれば、母を手に掛けたのは柿沼の線が濃くなるかもしれません。
 が、警察が先入観を持って見る限り、父殺しの汚名を濯ぐのは難しいかもしれません(柿沼の姿が見えなくなっていることを、警察がどう考えるか ― もありますし)。

 よしんば「証拠不十分」で釈放されたとしても、少年は一生“悪魔の子”という色眼鏡と偏見に晒され続けられなければなりません。
 前回の店主の娘さんも気の毒ですが、古い言葉ですが「親の因果が子に報い」という考え方(言葉)もありますし、父親が殺人犯であることは間違いなく事実なので、可哀相ではあるものの「仕方ない」という一面もありますが、少年の場合は「何も悪いことしていない」のにこの結末 ――

 そういう意味では、『今期今までの中で一番救いの無い話』だったのではないかと思います…



 さて次回はお粗末政治(家)を恨む女性の話のようです。
 こういってはなんですが、地方政治家のひとりやふたり地獄へ流しても政治が大きく変わるわけでもなく、ただ人がすげ変わるだけのような気もしますが、相手はもっと大物なのでしょうか。
 それとも、意外と(失礼)結構身につまされる話になるかもしれないな…と期待していたりします。


  ◆ − ◆ − ◆ − ◆ − ◆ − ◆

 追記:もし少年が藁人形を返さず、己の命の危険の際に、危機回避的に糸を解いていたとしても、両親は帰らぬ人となり、かつ警察に取調べを受け、世間から「悪魔の子」と決め付けられる結果になったいう点は変わらなかったと思います。
 それなのに死後地獄送りという代償を支払わずに済んだのは、“ある意味”唯一の救いと云えるのかもしれませんが、感覚的にはあまり「救い」となっていない気がしてしまいます…
 
 まあ『「危機回避的に」糸を解かずに(結果的に)危機を回避出来た』という、新しいパターンを提示した、という線かもしれません…
posted by セレネ at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 地獄少女 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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