2007年02月12日

地獄少女二籠 第15話 「この国のために」

 先回は、書くのには時間は掛かりませんでしたが、やはり書きにくい部分もあったので、ちょっと戻してみました。
 ひょっとしたら毎回スタイルが変わるかもしれません。ふらふらとしたブログですみません ;

 取りあえず15話の感想です

 駅前。
 「国民党・伊達政晴」と書かれた選挙カーの上で演説をする候補者と、その車の前には支援者たち。
 「この国の未来のために、大泉チルドレンを打倒しましょう」の候補者の声に支援者の声が重なる。
 その夜地獄通信で「大泉太一郎」の名を送信するも、「エラー! 受け取れません」の表示に、いらただし気に机を叩く少女・百合子。
 「どうして!? こいつが地獄へ流されれば、この国はよくなるのに…!」
  ―大泉チルドレン…! 昨年の「練○大根ブ○ザース」にもこの名が出てきましたが、ネタにされやすい政治代名詞…なのかも? まあ分かり易くて大変よろしいかと(笑)。

 翌日百合子は学校を休み、父は納品の仕事を放り出し、母の止める声を振り切り伊達候補の支援事務所へと向かう。
 道すがら、今の政治(政策)が弱者切り捨てであることをひしひしと感じ、改めて首相が地獄へ流されないことに怒りを覚える百合子。

 事務所では、駅前に行くなら明日の講演会のチラシを配ることを百合子が提案。事務所の代表(責任者)・山本は、よく気のつく百合子を気に入っている様子だった。

 事務所の自動車で、駅前の?クリーニング屋にチラシを置いて帰る菅野父娘に、おかみも亭主も困惑(迷惑)気味。

 夕方、工場でミシンを動かす母に、おかみがいっそ別れたらと言うが、父がそれを許さず、百合子の結婚のことも考えると…と母。
 あんたがそう言うのなら…と帰りかけたおかみは、悪いけど…とチラシを置いていった。

 輪入道はこのところ、駅で演説を毎日のように聞いていた。
 よく飽きないな、そんなに気になるのかい、と壁に現れた目(一目連)が尋ねるが、輪入道と目が合い近付いてきた少女に気付き閉じられる。チラシを渡され、ぎこちなく返事をしつつ受け取る輪入道。

 夕暮れの里、選挙について勉強しようと思ってな、と輪入道が新聞を広げていた。
 一目連が覗き込むと、そこには「ピーナツ」「記憶に」の文字が大きく踊っていた。
 古すぎないか? という一目連に、政治なんてそう変わるものじゃないだろう、と輪入道は答える。

  ―政治なんてそう変わらない― ある意味かなり強烈な批判ですね。
  それにしてもこのキーワード、若い人には全く分からないでしょうね ;

 夜の事務所。
 明日の講演会の受付を代表に頼まれ、気合十分の百合子。
 「今度の選挙に勝つためなら何でもやります。何でも言って下さい」(百合子)
 「頼りにしてるよ」(代表)
 …というふたりのやりとりに、面白くないといった面持ちの父。
 帰り道、父は娘に、小物の今の代表如きに気に入られる程度じゃまだまだだ、とすこぶる不機嫌な様子である。

  ―ちょっ…「何でもします」って、それはヤバイのでは…と、ついつい突っ込んでしまいたくなってしまった私。
 どう見てもこの山本という男は、腹にいちもつある油断のならない人物のようなので、うかつなことを言ってはいけません。
 父は父で、自分より有能で頼りにされている娘が、目の上のたんこぶ状態のようです。いずれ気に入らないからといって、暴力をふるってくるのではないかと心配です…

 帰宅すると、食事の用意は出来ていたが酒は無く、母はまだ工場のようだった。
 酒の無いことに腹を立て、食事も取らずもう寝る、とふて腐れた父。
 食事に箸をつけようとした百合子だが、父の「政治が悪いと何もかも上手くいかねえなあ」とあてつけるような大声に思わず動きが止まる。
 その頃母は、まだ工場でミシンを動かしていた。

 翌朝も、父娘は駅前で選挙活動に明け暮れていた。
 一方母は、取引相手にもう少し待ってくれるよう頼み込むが電話を切られてしまう。

 母は家のタンスの引き出しを開け、「あの人さえいなければ…」と憎しみの籠もった光を目に宿すが、すぐに我に返り首を振る。
 「もう少しだけ辛抱すれば、あの人も目を覚ましてくれるかも…」
 工場へ帰り作業を続ける母だったが、崩れる様に床に倒れ落ちた。

 駅で講演会のチラシを配る百合子におかみが駆け寄ってくると、母が倒れたことを伝えた。
 「……!」思わずチラシが手から滑り落ち、病院へと掛けていく百合子を、輪入道が心配そうに見ていた。

 病院の受付で百合子は「いつも駅で演説を聞いている」輪入道と出会い、母の病室まで案内してもらう。

 病室に入った百合子は、少し休まなきゃ…と母に言うが、そんなことをしたら生活が…と母。
 それを聞いて、身体を壊すまで働かないと生活出来ない今の政治に対して、怒りを爆発させる百合子。
 だが母は静かに首を振り、昔はもっと苦しい時もあったが、家族全員力を合わせて乗り超えたのだ…と語る。その言葉にはっとなる百合子。
 政治に感心を持つことは悪いことではない、だが父は自分の思い通りにいかないことを政治のせいにしているだけ。いつかは目を覚ましてくれると思ったけどもう無理なのかね…と涙を浮かべる母の姿に言葉を失う百合子…

 一方講演会場では、百合子の代わりに受け付けに入った父は、勝手が分からずいらついていた。
 イライラも頂点になろうという時、会場にひとりの青年が入ってきて父に声を掛ける。だが…

 家の前に停まったタクシー。
 百合子は母の入院に必要なものを紙袋にまとめていた。玄関には付き添ってきた輪入道の姿が。

 手を動かしながら百合子は、病室の母との会話を思い出していた。
 この家も工場も抵当に入っており、百合子の預貯金も切り崩されていた。その上(父は)あちこちの金融機関から借金しまくり、更に借金を重ねようとしている。
 百合子を連れて家を出たいと何度も言ったがそのたびに…と言うと、母はパジャマの腕をまくった。そこにはいくつもの痣が… 驚きで息を呑む百合子…
 「身体中こうなの。もう母さん、どうしたらいいか…」すすり泣く母。

 タンスのひとつを開けると、そこには赤い藁人形が乗っていた。
 「これも持っていくのね…」(百合子)
 輪入道は玄関の外を向いている…

  ― 最初、玄関から室内を向いていた輪入道が外を向いていたのは、藁人形を使用して欲しくない、という気持ちの表れだったのでしょうか。それとも追い込まれてしまった状況を目の当たりにするのが辛かったのでしょうか…

 病院。まとめた荷物をベッドの脇に置く百合子。紙袋から覗く藁人形に、母の表情が揺れる…

 事務所。酒を煽る父と、押し黙ったままの他の支援者たち。
 やってきた百合子が尋ねると、父が講演会場でトラブルを起こしたという。
 最悪だよ! と、ひとりの男が叫ぶと、父は講演会に来なかった百合子を大声でなじる。
 母の心配をするどころか、くたばっちまえばよかったんだという父の言葉に、思わず父を椅子ごと突き飛ばし、選挙の初心を問う百合子だが、ぶち切れた父は百合子の髪を鷲づかみにする。
 慌てて騒ぎの仲裁に入る他の支援者たち。
 代表は父を外に連れ出すと、ワゴン車の扉を閉めこう言った。
 今日の講演会のトラブルの責任を百合子に取って貰う、暗い公園通りでちょっとした騒ぎがおきればいい、少なくとも講演会のトラブルをかき消せるくらいの… それとも親としての良心が痛むかい?
 最初こそ思わぬ提案に目を見開いていた父だが、その表情が狂気じみたものへと変わる。
 あいつには世間の恐ろしさを思い知らせてやった方がいい、脅すだけではなくガツンとやって下さいよ、と。

  ― なにかもう、とり憑かれたかのような表情と、親に非ずといった考え方が、マジで怖いです。
 代表は「ちょっと脅すだけ」と言ってるのに、薄笑いを浮かべて「脅すだけなんて生ぬるい」とは… つまり娘を “売った” というだけではなく、この期に乗じて自分の『憂さ晴らし』をもしてしまおうという魂胆ですよ。とても正気とは思えません。
 代表も代表で「あんたがそう言うのなら」とは、同じ穴のムジナです。

 事務所に戻った代表は、先に帰るようにと百合子に言う。最初からそのつもりだったと答える百合子を憎々しげに見つめる父。

 公園通りの道を歩いていた百合子は覆面の男達に襲われる。ガムテープで口を塞がれ、両腕をぐるぐる巻きにされた百合子は、だが突然現れた炎の車輪に救われる。

 なんとか自力でテープを引き剥がし、事務所へと戻ってきた百合子は、ワゴン車の中に父の姿を認め話しかけようとするが、父の怒声と代表たちの会話で、ついさっきの暴行未遂が父たちの企みだったということを知ってしまう。
 「そんな…」と信じられない思いの百合子の肩に手が置かれた。輪入道だった。

 0時。地獄通信の画面が現れる。
 そこへ首相の名を入力し、ずっとこの人を恨んでると思っていた ― でも…と百合子。本当に恨んでいたのは―
 首相の名が消され新たな文字が打ち込まれる。『お父さん』
 「本当はもっと前から気付いていた。でも認めたくなかった」(百合子)
 その言葉と共に送信をクリックするが、それは首相の時と同様弾かれてしまった。
 「どうして…」
 「その人には先約があるから」
 その声に思わず振り向く百合子。「地獄少女…」
 「先約って…」
 その時不意に、母のタンスにあった藁人形が脳裏をよぎる。  「まさか…!」

 その頃。
 病室では母が藁人形を握り締めていた。
 「百合子ごめんね、もっと早くこうしていればよかった…」
 糸に手を掛けた母の顔に深い苦悩が滲む。
 「あなた、ごめんなさい…」この言葉と共に糸が引き解かれた。
 「恨み、聞き届けたり」

 後日。
 家に貼られた「売り家」の張り紙。母娘は小さなアパートへと引っ越していた。
 だいぶ狭くなったわね、という母に、ふたりなら十分よ、と百合子。
 そこへ突然選挙カーの演説が聞こえてきた。
 「そういえば伊達さん、選挙に勝ったの?」
 「知らない」と立ち上がる百合子。
 娘のその答えにふっと微笑む母。その胸元には刻印が刻まれていた…


☆ − ☆ − ☆ − ☆ − ☆ − ☆ − ☆ − ☆ − ☆

 今回は、母・春恵さんが気の毒でけなげで可哀相でなりませんでした。
 人も雇わず家族のみで切り盛りしている工場ならば、誰かひとりでも抜ければ戦力ダウンになるのは明らかです。
 それが最大の働き手の父で、しかも長期となれば、政策云々ではなく、生活が苦しくなるのは当然の結果です。

 それでも、もう少しあと少し辛抱すれば目を覚ましてくれるかも… 百合子の結婚の時のこともあるし…と頑張り続ける母の姿に、(不甲斐ない父への怒りと共に)胸が苦しくなりましたが、なんと別れ話を切り出すたびに暴行され、身体中痣だらけの酷い状態になっていたことが判明。

 自分より出来がよい娘に対するコンプレックスから、いずれ暴力を振るうのでは…と危惧していましたが、既に妻をメッタ打ちにしていたとは…
 弱者を蔑ろにする政治(政策)に腹を立て、それを覆すために活動していたはずなのに、自分は平気で弱いもの虐め… しかも本人は自覚していないという、最悪な状態です。

 また、講演会での失敗は、妻が入院したせい・百合子が来なかったせいと、父は自分の非は認めず、他に責任転嫁しています。
 おそらく「ご迷惑をお掛けしてすみませんでした」というお詫びのひと言も無かったに違いありません。そうでなければ支援者の男性も「最悪だよ」などと毒づいたりはしないでしょう。

 ですが、おそらく昔は働き者で、家族思いのよき父・よき夫だったのではないでしょうか。
 だからこそ、母もいつかは…という一縷の望みをなかなか捨て切れなかったのではないかと思います。
 そんな母だからこそ、最期の「あなた、ごめんなさい…」のひと言が哀しい……
 こんなに酷い目に遭いながら、ここまで耐え続けた人が、死後永遠に地獄で苦しまねばならないとは… 分かってはいるものの、今回もやり切れません。

 ところで、百合子は父を地獄へ流そうと送信をクリックしましたが、「先約があるから」と受け付けてもらえませんでしたが、それだと前回の柿沼の場合は先約にならないのか?という疑問もありますが、今回の場合は、「糸を解く寸前」だったので依頼を受け付けられなかった、でも柿沼の場合は違っていたから…という解釈でいいのでしょうか(このあたりはもう少し似たケースが無いと断定出来ないかもしれませんが)。

 そしてその後、母も娘も父がどうなってしまったのか解っているものの、お互い決してそれを口にすることなく一生を終えるのではないかと思います(むしろ「禁句」になる気がします…)。
 そうして百合子が母に対してしてあげられる最大の親孝行は、幸せになることに他ならないと思います。娘の幸せを一番に願っていたのは、他ならぬ母なのですから…
 どうか百合子が幸福な今生を母に送らせてあげられるよう、そして百合子自身も前向きに生きていけるよう、そのことを願ってやみません…


 さて次回は、お人よしで騙されやすい女性と、そんな彼女を放っておけない骨女の、情が入ったお話っぽい雰囲気です。
 また、予告のおばさんが実に悪役候で、手塚治虫作品の人物っぽくて、小気味いいくらいです。
 さてさて。どんな物語になるのでしょうか。
posted by セレネ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 地獄少女 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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