2007年07月17日

少女コゼット 第13話 「ジャン・バルジャンとコゼット」

 宿の扉の前まで来たマドレーヌは、コインを落としたコゼットを激しく叱責するおかみの声を聞く。落としたコインを探して来い、見つけるまでは家に入れないよ、とおかみは強く言い渡す。
 コゼットは明日の朝になったらすぐ探すからと、頼みこむのだが…



 そんな中、マドレーヌが宿へ入ってきた。
 愛想笑いを浮かべながらも、マドレーヌの汚れた身なりを見て、宿代の先払いを要求するおかみ。
 代金を渡し、これはその子の落としたお金では…と、マドレーヌはコインをおかみに渡す(コゼットに渡したのは15スウだが、マドレーヌが手渡したのは20スウ)。
 気をよくしたおかみは、もうコゼットに探しに行けとは言わなかった。

 コゼットはマドレーヌにお礼を言うが、次々に仕事を言いつけられる。
 おかみが夕食のオーダーを取りにきた時に、コゼットだけ酷い身なりで働いてるのは何故かとマドレーヌは尋ねる。
 おかみは、可哀相だと思って預かった子だが、母親が送金してこない、うちも余裕があるわけじゃないので、代わりに働かせているのだと答える。

 マドレーヌはティナルディエに掛け合い、コゼットを休ませてもらうことにする。
 十分な夕食を済ませたコゼットは、遊んでいていいと言われるが、おもちゃを持っていない。
 アゼルマの子猫がエポニーヌの人形を銜えて床に下りたのを拾ったコゼットだが、それらをコゼットが盗ったと、エポニーヌ・アゼルマ姉妹が騒ぎ立てる。
 おかみはコゼットを頭ごなしに叱り付け、コゼットは違う拾っただけだと言うが、おかみはいつもの如く聞く耳を持たない。
 その騒ぎの中、突然席を立ったマドレーヌは店を出て行く。おやまあ味方がいなくなってしまったわね、と嫌味を言うおかみ。
 そしておかみは、コゼットに罰として納屋で寝るように言うが、コゼットは無実を主張し続ける。

 その時、マドレーヌがコゼットの気に入っていた人形を抱えて戻ってくる。
 その人形をコゼットのものだと差し出すマドレーヌ。
 それらの金払いのいい言動に、マドレーヌから搾り取れるだけ搾り取ろうと、ティナルディエはおかみに囁く。
 コゼットはティナルディエとマドレーヌに言われ、ようやく人形を受けとった。
 面白くないエポニーヌは、自分たちにはクリスマスにはサンタさんが来てくれるが、コゼットには来てくれないわ、いい子じゃないから…と当てつけぽく言うが、人形に夢中のコゼットの耳には入っていない。それに更に腹を立てるエポニーヌ。

 ティナルディエはマドレーヌを部屋に通す。それまでのやりとりから、やはりティナルディエは油断出来ない、一刻も早くコゼットを助け出さねば― と、マドレーヌは決意を新たにする。

 一方おかみは、娘達が蔑ろにされたことを腹に据えかね、明日にでもコゼットを追い出してやると、泣きながら不満をティナルディエにぶつける。
 だがティナルディエは、あいつからもっと搾り取ってやると言い、その手段のひとつとして、マドレーヌに対しての法外な勘定書き(請求書)をおかみに見せると、おかみの機嫌は直る。

 翌朝、目覚めたコゼットは、人形のカトリーヌが自分の手の中にあることに、改めて喜びを感じる。そして床(とこ)の近くには、サンタからのプレゼント・木靴と中に大きな金貨が。
 エポニーヌとアゼルマは、サンタの贈り物の硬貨を見せびらかしにくるが、逆にコゼットの金貨が大きいことに気分を害し、自室へと引き上げる。
  ― 当時のフランスでは、サンタからの贈り物は「現金」だったのですね。何となく夢が無いような気がしてしまうのですが、物ではなくお金だったのは、何か歴史的理由があったのでしょうか。

 自室に戻ったエポニーヌたちは、皆なしてコゼットばかり… 「コゼットはずるい」と、恨みと悔しさを滲ませる。

  ― 「皆んな」って、サンタを除けばマドレーヌだけだと思うんですが…(禁句?)。
  第三者的に見ると、「コゼットだけ “ひいき” されるのはずるい」と言いたいのだと思いますが、じゃあ自分たちだけが母親(おかみ)にひいきされるのは問題無いのか、と突っ込みたくなったりもします。
 ただ、子供の視点(とは限らないかもしれませんが)としては、「ずるい」と感じるのは、ナチュラルな感情なのかもしれないな…という気がしないでもありません。

 玄関前の掃除をしながら、今日こそ母が迎えにきてくれそうな予感に胸を膨らませるコゼット。

 食堂?に座ったマドレーヌに、今冬は寒く、コゼットが風を引くと医者代が掛かるんですよ…と、おかみは話を振る。
 するとマドレーヌは、ならば暖かい服を着せ、栄養のある食事をさせればいい(つまり予防策をしっかりすればいい)と、返す。
 予想外の答えに戸惑いながらも、うちにはそんな余裕があるわけでは無いし…とおかみは答える。

 つまりコゼットを養うのは大変だということですか、よかったら自分が引き取りましょうか、とマドレーヌは切り出す。そう言われ、おかみは亭主に相談しないと…と、しどろもどろになる。
 そして、思い出したように、マドレーヌに勘定書きを渡す。
 最初に聞いていた料金と違うことを問うと、ティナルディエが現れ、更に高い料金を示し、おかみのそれは別の客のものだと言う。
 ティナルディエはおかみに席を外すように言い、マドレーヌとふたりだけで話を始める。

 コゼットを負担に思うこちらと、コゼットを引き取りたいというお客さん、ちょうどいいように見えるが問題がある、と。
 母親が送ってくるはずの養育費をためている、また母親の代理人がその代金を持ってくるかもしれない、だから…と、ティナルディエは後の言葉を濁す。

 つまり引き取りたければ金を出せということですね、いくらだったらいいんです、とマドレーヌはズバリ切り込む。
 不意に核心を突かれ、半パニックになりながらも、それでもティナルディエは頭の中で試算し、1500フランという数字を示す。
 1500フラン…と反芻するマドレーヌに、しまった吹っ掛け過ぎたか−と思ったティナルディエだが、マドレーヌは「解りました」と、上着の下(中)のポケットからお札を取り出すと、机の上に置いた。
 おかみは、喜んでいそいそとコゼットを呼びに外へ出る。
 だがティナルディエは、こんなにあっさり出すとは、あの札入れにはもっと金が入っているようだ、もっと高く言えばよかった― と、心の中で歯軋りする。

 そこへコゼットがおかみに連れてこられる。
 今日からお前はこのおじさんの子になってここを出て行くんだよと言われたコゼットだが、ここでお母さんが迎えに来るのを待ってると約束したから、マドレーヌと一緒には行けないと、この話を断る。

 それを聞き、大金に目が眩み、人として間違ったことをするところだった、と大げさな身振り手振り口ぶりで語りだすティナルディエ。
 自分には母親からこの子を預かった責任というものがある、自分らがこの子を預かったのは、金儲けのためじゃない、哀れな母子が少しでも幸せになれるなら― その思いで預かったんだ、とティナルディエは熱弁を振るう。
 だがこれが、母親の委任状を持った正式な代理人だったら、勿論只で連れて行ってもらいますよ、だが… 
 これがもし15000フランとでもいうなら、話は別ってものですがね…
 と、机に突っ伏しながら、ティナルディエはどうだとばかりに、下卑た笑いを浮かべつつマドレーヌを見上げた。

 「なるほど、そういうことですか…」
 マドレーヌは上着の中に手を入れると、札入れを取り出した。
 しめしめと思ったティナルディエ夫婦だが、マドレーヌが取り出したのは紙幣ではなく、四つ折りにされた一枚の紙だった。
 それはファンティーヌ直筆の正式な委任状。
 内容は、コゼットをこの人と行かせて下さいというものであった。
 母・ファンティーヌの字だと喜ぶコゼット。
 いやしかし…と、机上のお札に手を伸ばしかけたティナルディエだが、一瞬早くマドレーヌがそれを回収した。
 「お前は、母親の正式な代理人だったら、金は要らないと言ったな」
 マドレーヌのその言葉に腹の虫が収まらないティナルディエは、コゼットは母親が迎えに来るまでここにいると言ったと抵抗するが、コゼットは委任状を持っていたマドレーヌと一緒に行くと答える。
 ではすぐ出掛けよう、着替えが鞄に入っているから着替えるようにとコゼットに言うマドレーヌに、おい、ちょっと待てと凄んだティナルディエだが、マドレーヌの「まだ(何か)あるのか」の迫力あるひと言に竦んでしまう。

 黒の帽子と衣装に着替え、人形のカトリーヌを抱いたコゼットは、さあ行こうとマドレーヌに促され、ワーデルロー亭を出る。
 そんなふたりを見ていたアゼルマは「コゼット行っちゃうよ。帰ってこないのかな」とエポニーヌに話しかけるが、エポニーヌは帰ってこなくていいと腹立たしげに答える。
 (コゼット、私あんたのこと許さない。一生許さない…)

 机に突っ伏したまま泣き続けるティナルディエに、あんたが欲張るから…とおかみは言うが、ティナルディエは、あの男の顔しかと覚えたぞ、次に会った時にはたっぷり利子を付けてふんだくってやるからな…と悔しさを滲ませ、(負け惜しみともとれる)復讐を誓う。

 コゼットはマドレーヌに、ガブローシュとシュシュも連れて行って欲しいと頼む。
 だが出会ったガブローシュは、鍛冶屋のおじさんたちは親切でいい人たちで、自分が出ていってしまったら悲しむから一緒には行けないと、同行を断る。
 再会を約束し、ふたりと一匹は別れを惜しむ。

 そして…
 (コゼット…)
 どこからかファンティーヌの声が聞こえ、コゼットは思わずあたりを見回す。
 「コゼット」
 そう声をかけたのはマドレーヌだった。
 「行くよ、コゼット…」
 マドレーヌはコゼットに手を差しのべる。コゼットは小さく微笑み、その手をマドレーヌと繋ぐと、ふたりは一緒に歩き出した…


   ☆ ― ☆ ― ☆ ― ☆ ― ☆ ― ☆ ― ☆ ― ☆ ― ☆ 


 先回の次回予告を見た感じでは、使いまわし多しの回?と思いきや、単なる思い違いでした… ; (逆よりはいいですけどね ;)。


 とにかくこの回に関しては、「マドレーヌ、よくやった!」のひと言に尽きますね。

 最初から、ファンティーヌの代理人として対面するのは、メイエのケースも考えれば止めておくべきというマドレーヌの判断は正しいと思います。

 マドレーヌとティナルディエとのやりとりは、別の見方をすれば少女を売り買いしようとしているとも取れますが、ティナルディエに対して回りくどいことを言っていても埒が明かないのは明らか。
 ならば、単刀直入に、幾らならいいんです(コゼットを引き渡してくれるんです)? と訊ねるのが一番手っ取り早いでしょう。
 そう訊かれ、言い値を言ったにも関わらず、マドレーヌの財布にまだ余裕があるらしいと見るや、もっと吹っ掛ければ良かったと悔しがるティナルディエ。この男の欲深さは底なしのようです。

 しかし、母と約束したからここで待ってるというコゼットのひと言に、起死回生をかける強欲おやじ…もとい、ティナルディエ。
 自分は金儲けのためにコゼットを預かったんじゃない、それなのに、1500フランに目が眩んでしまうとは、これが母親からの委任状を持った正式な代理人ならば、ただでコゼットを引き渡すのに… と、どう見てもオーバーアクションな演技(猿芝居)に、ふき出しそうになってしまいました。
 ティナルディエのあの表情は、どう見ても、「アンタ、『母親からの委任状を持った正式な代理人』じゃないだろ? だからダメなんだよ。ふふん」といった、したたかさが窺え、実に悪役チックです。

 何はともあれ、ついにティナルディエの口から「母親の委任状を持った正式な代理人だったら、勿論ただで連れて行ってもらいます」という言葉を引き出したマドレーヌ、お見事です。
 マドレーヌとしては、お金を出し惜しむつもりは無かったのでしょうけど(メイエの話を聞くに)、あれやこれやと次々と追加され続けると際限が無いですしね。
 それに感情的なものとしては、ティナルディエたちがコゼットを大切にしていたならまだしも、こき使ってきたという事実もありますし、そんな男(夫婦)に、余分なお金は渡したくなかったのではないかな…と思ったりしてます。

 少し話は戻って、コゼットだけが優しくされることに腹を立てる女性陣に対して、マドレーヌをいい金づるが飛び込んできたと考え、妻や娘達の無念なぞ無視して、マドレーヌからお金をむしり取ろうと悪知恵を巡らすティナルディエとの感情の差も面白いです。

 勘定書きの値段は「ぼったくり」以外の何物でもないのですが、恥ずかしげもなく要求出来てしまうあたり、精神が麻痺して何も感じなくなってしまっているのでしょう。
 ティナルディエやおかみの両親・または育ての親がどういう育て方をしたのかも気になります。エポ・アゼ姉妹を見るに、こうして悪循環は続いていってしまうのかもしれません…

 姉妹と云えば、コゼットに対して、ある意味素直に羨ましがるアゼルマに対して、エポニーヌは羨むということはしないし、言葉にもしません。それは自分は「コゼットより上」だというプライドからきているのかもしれません。
 コゼットは自分たちより下にいる存在、劣った存在、優越感を感じさせる存在であらねばならないというのが、ふたり(特に同い年のエポニーヌ)にとっては、大切なことなのでしょう。

 コゼットがワーデルロー亭を出て行った時、エポニーヌは「コゼットを絶対許さない」と言っていますが、自分には立派な人形を買ってもらえなかった、色々と気に掛けてくれなかった等々、「自分のプライドを傷つけられたこと」を許さないということなのかもしれません。
 でもこれは逆恨みでしかないと思うんですけど、あの両親に育てられたエポニーヌには、それが解らないのでしょうね…

 そしてお着替え。
 コゼットが着替えたのが黒の衣装だったのは、「喪に服する=喪服」の意味もあるのでしょうね…
 追われているのに、そんな衣装一式を、いつ・どこで手に入れたかも微妙に気になりますが、それは置いておきましょう。
 ガブローシュとシュシュがコゼットについていかないのは、ネタバレ踏んでしまったので知っていましたが、口減らしのために出された鍛冶屋のおじさんたちがいい人たちのようでほっとしました。
 この際、手に職をつけて、早めに自立するのもいいかもしれません。

 そして最後の最後にまた微妙なシーンが。
 マドレーヌとコゼットが宿を出、ガブローシュたちと別れを惜しんだのは、確か朝方で青空だったのですが、マドレーヌが「行くよ、コゼット」と手を差し伸べた時は、何故か夕暮れの空…
 まさか半日モンフェルメイユ村?に滞在していたわけでもないでしょうから、単なる演出ミス?かな、とも思うのですが、ついつい突っ込みたくなってしまいました(苦笑)。


 さて次回は、とうとうジャベール警部が、モンフェルメイユ村?にまでやって来るようです。
 事情聴取されたティナルディエ夫婦が、コゼットを攫っていった、金庫の金も盗んでいった等、でっち上げの嘘八百を並べたて、マドレーヌに更に罪を被せるのではないかと心配です。
 それにしても、行きに乗ってきた馬はどうしたんでしょうね。まさか放置?
 子供連れで馬に乗るのは危険なのかも知れませんが、歩きやヒッチハイクより早いような気がするのですが…(この辺無知なので、ホントに危険でしたらすみません)。
 

posted by セレネ at 18:11| Comment(0) | TrackBack(1) | 少女コゼット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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レビュー・評価:レ・ミゼラブル 少女コゼット/第13話『ジャン・ヴァルジャンとコゼット』
Excerpt: 品質評価 10 / 萌え評価 67 / 燃え評価 3 / ギャグ評価 7 / シリアス評価 60 / お色気評価 3 / 総合評価 26<br>レビュー数 28 件 <br> <br> ジャン・ヴァルジャンは、通りすがりの旅..
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Tracked: 2007-08-29 21:12
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