2007年10月03日

矛盾とネタバレと獣王星

 自分は元々ネタバレが苦手というか、なるべく白紙の状態で作品を楽しみたいというタイプの人間です。
 物語の核というか先のストーリーを知ってしまったら、二度と知らなかった時の視点では観られませんからね… (新番組で、どんな感じの物語か、という導入部を知るくらいならばOKですが)。

 そんな自分が “ネタを知ってしまったからこそ” 最後まで観ることが出来たという稀有な例・「獣王星」。今回はそれについて書いてみようと思います。
 ただ当然ですが、あくまで個人的な視点・感じ方のトークなりますので、その点はご了承下さいませ。

 またうろ覚えではありますが、ネタバレを含みますので、ネタバレが苦手な方、アニマックスで初視聴中の方、(また批判的視点になってしまっている部分もありますので、そういうものが苦手な方)などは、各自の責任の上、回避等の選択をお願い致します。



 地上波の深夜枠でこの作品を観ている時、最初の方で「あれ」と感じる部分がいくつかありました。


  ― 主人公のトールとラーイの双子の兄弟は、キマイラという秘密の流刑星に落とされる。
 寒暖差が激しく、植物が人間を襲うのが日常という過酷な環境の下、生き抜こうとするふたりだが、弟のラーイは肉食植物に襲われた際、割れた地面に飲み込まれてしまう―


 あれ…?
 ここの食肉植物たちと、他の生き物の関係って可笑しくありません…?

 例えば、地球の食虫植物などは、自らは動かず、餌である昆虫が罠に掛かるのを待つタイプです。それは(素人の推測ですが)その方がエネルギー効率がいいからだと思います。
 つまり、補充されるエネルギーは、消費されるエネルギーよりも多くなければならず、消費のみに費やされると、やがては死に至る―というのが、生物の原則なのではないでしょうか。
 それで言えば、エネルギーは使うけれど、栄養価の高い(多分)人間を捉えるためにキマイラの植物が「動く」ことは、エネルギー効率からすれば可笑しくはありません。
 けれど人間がキマイラに落とされるようになって、一体何年になるのでしょうか? 進化の過程で云えば、たかが数十年程度(百年でも?)では、このような変化は起こらない―と(素人なので断定は出来ませんが)思います。
 では、人間がキマイラに現れるまで、食肉植物たちは一体何を食べてきたのでしょう ―
 エネルギー効率から言えば、昆虫程度の大きさ(&栄養価?)のものでは割りに合わないように思います。
 ではウサギやリスのような小動物? これくらいならなんとかバランスが取れるような気がします。
 しかし、画面にはそれらしき生き物たちは全く出てきません。
 人間達が食べ尽くしたから? その可能性も否定出来ませんが、植物から逃げおおせているほどの素早さを持った小動物が、易々と滅ぼされるとも思えません。
 単に、植物と人間の対決に焦点を絞っているから省いているだけ、とも言えなくもないかもしれませんが、「食肉植物と人間との生存競争」に重点を置く余り、その他の生態系についての考察が、疎かになっているような印象を受けました。


 そして、次の疑問点。
 トールを追って、サードがエアバイクで… って、ええ!? 流刑星なのに、そんな文明の利器が支給されているんですか?
 まあ支給があったのはいいとして、機械は使わなければ劣化するし、使っていれば消耗していくという厄介なもの。
 それらの手入れのための道具や部品の補給はどうしているのでしょう。
 寒暖差が激しく、湿気も結構あると思われるので、手入れはまめにしないと、じき動かなくなりそうなのですが。
 そしてバイクの動力というかエネルギー源 ― おそらくはガソリンのような液体だと思うのですが ― は、一体どこから供給されているのでしょうか?
 キマイラの地で燃料に当たるものが掘り出されたり精製させたりしている様子も無い(あれば、それも争いの原因になるはず)ようなのですが…

 それからトールのいるオークルリングの人々が住んでいる住居。
 とても現地の物資と道具で作ったものとは思えません。
 まあこれは、いくら流刑星とはいえ、人道的に住むところくらいは作っておくべきではという考えのもと、作られた物なのかもしれませんが、随分と大きい上、部屋数も多く、地下らしきところもあり、しかも照明まで完備と、至れり尽くせりです。

 あと酒を入れていた容器ですが、投げ捨てられても割れないあたり、陶器ではないようです。金属かプラスチックのような人工物っぽい印象を受けましたが、どこでどうやって作られたのでしょうか(陶器でも、焼くための窯や材木?も必要ですが)。

 そして衣類系についてもですが、これらもどこでどうやって調達しているのか謎です。
 極寒期用の分厚い衣類や靴下(靴も)とか、反対の季節の薄手の衣装や肌着など、植物から繊維を取り出している様子も無いですし、そのための機械(道具)もあるのか無いのかすら分からないですし…


 …とまあ、一事が万事、銃の弾丸からエアバイクの燃料、医療品などの生死に関わるものから、食器や衣類、靴にシーツに至るこまごまとした生活雑貨などの消耗品の何ひとつ、この星で作られていない―というより、原材料すら無さそうなものたちが、ごく普通に・当たり前に存在しているのは何故なのか…

 もしや他から(バルカンから?)補給があるのかもとも考えたのですが、極秘の流刑星に手厚い保護をするとも考えにくいですし、大体補給のカプセルが落とされているという話も聞きませんし、謎というか矛盾は広がるばかりです…

 (全くの余談ですが、サードがチェンに「俺の生まれたところ(星?)では「交(?)の月」など無い」と言ってキスしているところを見ると、チェンはキマイラ生まれのキマイラ育ちで、つまりはキマイラに人間が落とされるようになって、軽く30年以上は経っているのではと推察したのですが、実際はどうなのでしょうか)。





 …などなどで、もうこのアニメ観るのは止めようかな〜、それとも堂本光一君が出るまで我慢すべきかな〜 …と迷っていた頃、うっかり読んでしまったのですよ、ネタバレというか、この漫画の結末とキマイラに人間を落とすその理由を。


 それを読んで、へえそうなのか、じゃあそれはそれで一応最後まで観てみようか…、と気が変わったり致しました。


 そんなわけで、以下うろ覚えですがネタバレありです(知りたくない方は飛ばして下さい)。



 惑星キマイラは、生物として衰退する(平均寿命が短くなっていく、出生率が減少していくなど)人類の生命力を復活させるための実験場だった。
 そしてそこで獣王に選ばれた人間は、新しい健康な人類のために凍結保存され、利用される運命だった。
 トールの両親はオーディンと考えの違い??で対立?し、暗殺され、息子であるトールとラーイはキマイラに送られる―
      (中略)
 やがてバルカンの人間は静かに滅んでいき、人類はキマイラでひっそりと、だが逞しく生き抜いていくことだろう…


 えーっと、結局疑問というか矛盾は解決出来てはいないのですが(苦笑)。
 しかしとりあえず、住居が立派な謎は解けました。元々ずっとここで大勢を住まわすためのものだったのですね(笑?)。

 あと、獣王は生命力がある個体ということで冷凍保存してましたが、ほとんど(全員?)が男性でしたので、強い女性は確保しなくてもOKということだったのかな〜(掲載誌が少女誌だったので、その辺りの配慮はあったのかも)ということも思ってしまいました。

 けれど、銃弾や医薬品などの消耗品がキマイラで生み出されていたものか否かは結局謎のままでしたね。
 万一支給されていたものだとしたら、その支給がなくなったら、いずれ生き残れなくなって、滅亡しかねないような気がしてしまうのですが。
 そのせいか、本当のハッピーエンドという気持ちにはなかなかなれない自分がいたりします。

 (ここで少し最初の疑問に立ち戻りますが、肉食植物との戦いに重点を置くためには、小動物を存在させては、食料として小動物を狩るシーンも出てきて、植物との対決色が薄くなると考えてのことだったのかもしれません。
 ですがせめて、物凄く動きが早い上に、つるつるして捕まえにくく味も不味い、大きなゴキブリのような生き物(ただし飛べない)が存在し、植物にとっては高蛋白、けれど人間にはそれほど栄養源にはならないので捕まえない―などの設定があってもよかったような…)。


 自分は設定オタではないつもりなのですが、色々と詰めが甘いというか、設定がぬるいというか、「なんかおかしいな」という部分が多く、しかも根幹に近い部分もあったため、今こうしてみても、自分的には「うーん…」な作品になってしまっていますね。
 発想自体は悪くないと思うので、もう一捻りあれば ― と思うと残念です(えらそうに聞こえてしまいましたらすみません ;)。
posted by セレネ at 00:07| Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ関係 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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